先週末6月12日(土)にウェルバ・アクトゥスのメンバーで金星演劇祭に参加したときの様子を、出演者の野々宮卯妙が詳細にレポートしてくれたので、紹介します。
(ここから)
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12日の名古屋ワークショップ&ライブは、とても充実していたのです。
昼間はアクテノン(演劇練習館)でワークショップ。
水城講師から、この日はかなり系統だった話ができ、かつ、ウェルバ・アクトゥスの真髄のような話がすとんとできた……気がする。ぱちぱちぱち。
プロデューサーの一歩さんはとても感激していたもようで、例によって終了後、演説をされました(笑)。
夜は中村公園駅(稲葉地公園)から藤が丘駅へと名古屋を横断し、
藤が丘駅すぐのウェストダーツクラブで「金星演劇祭」。
といっても、連夜、ここを舞台にいろんな団体がパフォーマンスをする、というもので、
この夜はウェルバ・アクトゥスの日だった、というわけ。
ところが、というかもちろん、というか、
一応演目としては「Kenji-V」というタイトルでチラシも刷られていて、
「Kenji」の5人バージョン=東京の小学校向けのバージョン「Kenji」をやることは決まっているのだが、
(本番に)間に合うか間に合わないかわからん、という人が2名。
1名はすでに出られないので交代。
最終的に(本番30分前に)2人がピンチヒッターという5人体制が決定。
時間はたっぷり余るので、これ以外に一人読みもやろうということに。
一応、時間があるからとは聞いていたので私もいくつかテキストを持って行ったが、
それでもまだ余裕があるというので、ゼヒゼヒとお願いして2作品やらせてもらうことに。
間に合わない、ってんで交代した一人が間に合う時間に到着したものの、
いまさら交代もなんだから、と言っていたら、
彼女を見に来たお客さんが5人も現れてしまい(笑)、急きょ彼女にも出演してもらうことに。
「でも何も読む物もってきてない」
「え~~……じゃあ、これ!」
本番30分前、初見のテキストに決定。
一応、漢字の読みチェックを兼ねて彼女に向けて私がひととおり読む。
言葉の読み込みはできずとも、せめてこの空気感を伝えたい。
彼女はもともとその空気を知っているはずの人だから、気づいてくれさえすればいい。
読みの順番も決まってなかったが、本番5分前、
コギソさんが「トリよりはいい!」とトップバッターに。
次いでKenji、林ちゃん、私、ふみさん、私、の順にして、
ハイ、照明落ちました。
再びところが、というかもちろん、というか、
本番は前にもましてすばらしいパフォーマンス!
まあ、これでできちゃうってのが不思議ですよねーふつう。
でもうち、ふつうじゃないから(笑)。
トップバッター、コギソさん。
30分前に突然やることになった「青い空、白い雲」。
当然読み込みはできないし、あとでご本人も「カミカミで……」と言っておられましたが、
それがまったく気になりませんでした!
テキストの空気がコギソさんのリアルな感覚になっていたからだと思います。
ときどき顔をあげてお客さんを見るときのコギソさんの顔が、
すごく優しく生き生きとしていたのが、本当にすてきでした。
そこにまた聞く側がひきこまれていました。
私はじわ~と涙が出ました……。
これで言葉が自分のものになれば、すごいことになりますよ!
「Kenji」
今回は、初めてやるメンバーが二人もいながら、すごい一体感でした。
ふみさん、麗子さんが安定して、かつ楽しんでいたから、他の二人も不安はなかったどころか、同じように楽しめたのでは……
林ちゃんの小山内薫。
上はともかく(笑)前のお客さんに対してガッチリつながってるみたいな……
今回はお客さんに対して押すばかりでなく、引いてみたり、やりとりがあった気がします。
これは上のバルコニーからではなく、下で同じ目線で聞きたかったです。
ブラボー!
私の「夢十夜」第三夜。
まわりを真っ暗にしてもらって、おかげで360度の空気を感じることができ、
水城さんの音楽との息もぴったり合わせられて、実に心地よくできました。
お客さんがぐっとこっちに集中している手ごたえ。
それを感じながら押して、引いて、回して、外して、当てて……いやー楽しい。
まあ、テキストはほとんど覚えてしまっているので、好きにできます。
第三夜は大好き。やるたびいろんなものが見えて、楽しいったらない。
最後、音楽とぴったり合った。お客さんがハッと息をのむ。
だしきれました。満足です。
ふみさんの「満州からの手紙」。
しっとりと、雨の音が聞こえるような……そして優しい気持ち。
ふみさんのお子さん、そしていますくすくとお嬢さんのお腹の中で成長中の赤ちゃん、
つながる命を感じている、そんなふみさんがここでいま読んでいる、……という感じでした。
これからも同じ気持ちを持ち続けられるだろうと思いますが、同じといっても同じではなく、
大きくなったり膨らんだり温まったりと変化はあるはずで、
しかもそれはいずれに変化しようとこちらも感じてうれしく温かくなる気持ちですから、
ぜひまた聞かせてください~~!
私の「鳥の歌」。
ステージにおり(上のバルコニーが楽屋状態で、螺旋階段を下りてステージに出るのです)、
まずげろきょのチラシを配ったら、
前に座っていたお客さんが「わ、また読んでくれるのね」とうれしそうに反応してくれたのが
これまたうれしかったです。
今度はエンタメ性を高めた漱石とはぐっと雰囲気を変えて、純文学的に。
……でもないか。
電子ピアノに手をかけて、リサイタル風に読み始め、
後半は体をいろいろ動かして声に変化を出してみました。
最後はゆっくりしゃがみこみながら、そして再び立ちあがりながら。
その声の変化はそのままメッセージ……のつもり。
やったことは、漱石よりはアグレッシブなつもりでしたが、
たぶん聞いた感じとしては、こっちのほうがソフトできれいっぽかったかな……
実際どうだったんでしょう、聞いてた人に訊いてみたい。
ラストに皆で「祈る人」。
お客さんといっしょに読む「祈る人」は格別です。
ひとつの目標に向かってエイエイオー、ではなく、
このきっかけで合わせるのよ!というのもなく、
それぞれ違う祈りを感じながら、違うことを考えながら、
同じテキストを、他の人たちの声を感じながら読む。
それでいてなんとなく声があわさっていく。
ひとつの目標に向かって心をあわせて、なんていうと美しいけど、
それと全体主義とどこが違うのか。
目標?
ではその目標の価値判断を誰がするのか。
絶対的な善悪や正誤の判断は誰にもできない。できると思う思い込みが怖い。
そしてまた。
バラバラに聞こえるだろうけど、それはほんとにバラバラだろうか?
「みんな同じことを念じないと大きなことは成し遂げられない」
ということはないのだと、実感できる気がしています。
ひとりひとり違いながら、お互いを感じること。
それがとても温かで平和な心持をもたらしてくれる、ということを、
12月のGingaで、そこにいるみんなが実感することができたらなあと思います。
とくにうれしかったのは、あるメンバーから「楽しかったですね!」と言われたこと。
あの時間と空間を、仲間ともお客さんともちょっとだけでも「共感」できたから、
とちったりはしてもそんなの疵と感じることもなく(たぶんお客さんも……)、
「楽しさ」が最初に来たんじゃないかなあ、と。
いろいろありまして、彼女にはいまなにより「楽しさ」を感じてほしかったから。
まさにその「楽しかった」という言葉が出てきて、しみじみよかった。
来月も楽しみだ!
来月はなんとアクテノンの野外ステージですよ。
無料のはずなので、ぜひおいでください。
マイクも照明もないなかでやる、いわば実験になるはずです。
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(ここまで)
抜粋しようと思ったんですが、ほぼ全文引用になってしまいました。
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